社労士から一言~定時決定における保険者算定の基準が追加になりました~
今年もまた健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定のための算定基礎届提出の時期がやってきました。
みなさんご存知の通り、今年4月1日から保険者算定ができる場合について、次の基準が追加されました。
「当年の4、5、6月の3カ月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」と、「前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」の間に2等級以上の差を生じた場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合(いずれも支払基礎日数が17日未満の月を除く。)
「業務の性質上例年発生することが見込まれる」とは業種や職種の特性上、基本的に毎年4月~6月が繁忙期に当たるため、4月~6月までの期間中の残業手当 等が、他の期間と比べて多く支給されることなどを理由として、例年季節的な報酬変動の起こることが想定されることとされており、たまたま今年は受注が集中 した等の一時的な繁忙による残業代の増加等は含まれません。同じ事業所の中で決算業務などの関係で、4月~6月が繁忙期に当たる部署と当たらない部署があ る場合は、繁忙期に当たる部署のみが対象となります。
また報酬の変動には増加のみでなく、例えば冬季に限定される杜氏や夏・冬季に繁忙期を迎えるホテル等の業種のように4月~6月に報酬が低下する場合も含まれます。
今回追加された保険者算定についての届出は、算定基礎届の備考欄に「年間平均」と記載するとともに次の資料を添付する必要があります。
1.業務の性質上例年見込まれるものである理由を記載した申立書
2.被保険者の同意書(※様式が変更になっています)
3.当年の4、5、6月の報酬額等と前年7月から当年6月の報酬額等を比較した書類
このうち1.の申立書と2.の同意書については日本年金機構のHPに書式が掲載されています。
今 回の改正によって、例年4月~6月が繁忙期に当たり残業代等が他の月に比べて著しく多かった事業所や特定の部署については保険料負担が軽減される可能性が あります。ただし、標準報酬月額が低くなれば傷病手当金の額や将来の年金受給額に影響が出ますので、毎年従業員の同意を得ることが必要とされている点に注 意して下さい。
なお、短時間就労者の支払基礎日数の取り扱いが6月16日に変更されたため、算定基礎届の説明会でお聞きになった内容と一部取り扱いが変更になっている場合があります。詳しくは日本年金機構HPをご覧下さい。
http://www.nenkin.go.jp/main/system/pdf/santei.pdf
(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)