社労士から一言
~職場の熱中症にご注意を!~
(c) Zakky|写真素材 PIXTA
梅雨が明けたとたんに全国各地で連日猛暑日が続いています。
熱中症による死者もついに100人を超えたとのニュースを
目にされた方も多いのではないでしょうか?
厚生労働省から「職場における熱中症の予防について」というパンフレットが出て
いますので、今日はその中から熱中症対策についてご紹介したいと思います。
まず作業管理については
① 作業の休止時間及び休憩時間の確保、高温多湿作業場所の作業を連続して行う時間の短縮。
② 例えば7日以上かけて徐々に熱へのばく露時間を長くしていくなど、計画的に、熱への順化期間を設ける。
③ 喉が渇くなどの自覚症状の有無にかかわらず、作業の前後や作業中に定期的に水分及び塩分を摂取するよう指導する。摂取確認の表を作成したり、監督者が作業中に巡視するなどして摂取を徹底させる。
④ 熱を吸収し、又は保熱しやすい服装を避け、透湿性及び通気性の良い服装を着用させる。また、直射日光下では通気性の良い帽子等を着用させる。
⑤ 水分及び塩分の摂取確認とともに、熱中症の疑いのある労働者を発見した場合は速やかに作業を中断させ、必要な措置を講ずる等高温多湿場所の作業中は巡視を頻繁に行う。
日常の健康管理としては
① 糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全等の疾患は熱中症の発症に影響を与えるおそれがあり、これらの疾患の治療中の労働者については、主治医の意見を勘案し、必要に応じて、就業場所の変更、作業転換等の適切な措置を講じる。
② 睡眠不足、体調不良、飲酒、朝食の未摂取、発熱や下痢による脱水症状は熱中症の発症に影響を与えるおそれがあるため、日常の健康管理についての指導を行うとともに、健康相談を実施する。
③ 作業開始前、作業中の巡視などによって労働者の健康状態を確認する。
救急処置としては
① あらかじめ、病院等の所在地及び連絡先を把握するとともに、緊急連絡網を作成し、関係者に周知する。
② 体温が高い、顔が赤い、身体が熱い、汗をまったくかかず乾いた皮膚などの熱中症が疑われる症状の労働者を発見したら、直ちに作業を休止し涼しい場所で安静にさせる(その際には決して一人にしない)、水やスポーツドリンクを飲ませる、体温が高い場合は衣服をゆるめ、水をかけるなどして体温の低下につとめる、意識障害がある場合などは直ちに医師の手当を受けさせる。
以上の対策を日頃から作業責任者や現場監督者に周知させることが大切です。また、今年の熱中症による死者の半数以上は屋内での発症によるものです。炎天下の作業だけでなく、蒸し暑い工場内などでも注意が必要です。
業務上の災害については事業主が責任を負うことになっており、
労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法といった法律が定められています。
昨今では労災保険の給付に留まらず、被災者本人や遺族から
「安全配慮義務違反」を問われて民事上の損害賠償請求訴訟を起こされる
ケースも増えています。
このような裁判は場合によっては経営に深刻な影響を与えかねません。
それ以前に労働者の安全と健康を守ることは事業主としての責務です。
快適な職場環境を整えることは労働者の健康を守ると同時に
作業効率のアップにもつながり、職場に活気をもたらします。
この機会に今一度、
皆さんの職場環境、作業手順を見直してみてはいかがでしょうか。
参考:
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/06/h0616-1.html
(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)