震災関連対策その2 未払賃金の立替払について

社労士から一言~震災関連対策その2 未払賃金の立替払について~

 

3月11日の東日本大震災から早2ヶ月近くが経とうとしています。

帝 国データバンクによると、震災の関連倒産(倒産手続き中を含む)は

3月11日~4月末の約1か月半で57件に達し、

1995年の阪神大震災の時の2倍を超 えるペースとなっています。

57件のうち、東北地方の企業は13件で、津波で本社が破壊されたり

商品を失うなど震災の「直接的な被害」を受けた企業がほと んどです。

このように直接的な地震災害により事業活動が停止し、

再開する見込みがなく、かつ賃金支払能力がない中小企業に対しては、

「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づく

未払賃金の立替払制度について、

厚生労働省から「その実情を踏まえつつ迅速に実施し、

早急な救済を図る」ため通達が出されていま す。

 

●未払賃金の立替払制度とは

企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、

未払賃金の一部を立替払する制度であり、

全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康福祉機構

実施されています。

立替払を受けるためには次の要件を満たしていることが必要です。

(1) 使用者が

① 1年以上事業活動を行っていたこと

② 倒産したこと

(破産や民事再生等法律上の倒産の場合は

破産管財人に倒産の事実等を証明してもらいます。

法律上の倒産の手続きに入っていない場合で、

事業活動が停止し再開の見込みがない等の

事実上の倒産といえる場合は労働基準監督署長の認定を

受ける必要があります。)

(2) 労働者は倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)

又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日

の6か月前の日から2年の間に退職した者であること


立替払の対象となる未払賃金は、労働者が退職した日の6カ月前から

立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金退職手当

のうち、未払となっ ているもので残業代も含まれますが、

いわゆるボーナスは立替払の対象とはなりません。

また、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象とはなりません。

 

3月23日付で出された通達(基発0323第3号)によれば、

今回の地震に伴い、災害救助法第2条の規定に基づきその適用の対象

とされた地域(ただし帰宅困難者対応として適用された東京都47区市町

を除きます。)に 本社機能を有する事業場が所在している

中小企業事業主のうち、被災地域に所在する事業場において

使用されていた労働者が申請をする場合、

申請に必要な書類 が入手できない場合等にあっては、

地方公共団体が発行する罹災証明書等申請者側が

入手可能な各種資料を最大限活用すること等により、

労働者等の負担をでき るだけ軽減することや、

申請等を迅速に処理することが述べられています。

 

今後復興が進むにつれて被害実態もはっきりしてくるでしょうが、

事業主が行方不明になっている場合も多く、

結局事業再開のめどが立たず倒産に至る等、

倒産件数は増加するものと思われます。

立替払制度の利用にあたっては申請期限がありますので、

早めに事業場を管轄している労働基準監督署に相談することが必要です。

厚生労働省では「未払賃金の立替払についてのQ&A」

公開していますので、ご利用下さい。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017zyd-img/2r98520000018001.pdf

なお、福島第1原子力発電所の事故に伴う避難指示等

による賃金の未払については下記を参照して下さい。

www.fukushimaroudoukyoku.go.jp/houdou/data2/h230418_59hou.pdf

 

(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)

 

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このページは、税理士法人 成長会計研究所が2011年5月 3日 00:24に書いたブログ記事です。

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