社労士から一言~社会保障改革案が発表されました
少し前のことになりますが、菅総理は社会保障制度改革における「安心3本柱」につ
いて最優先項目として検討を進めることを関係省庁に指示しました。
この「安心3本柱」とは、
(1)子育て支援強化:子育て支援については特に現物サービス(子育て支援サービ
ス)に重点をおくことや働きたい女性が全員働けるだけの子育て基盤の増強、「幼保
一体化」の実現。
(2)非正規労働者への社会保険(厚生年金、健康保険)適用拡大:非正規で社会保障
制度適用から排除されている労働者の増加が格差問題にも関係しているとして、中小
企業の雇用等への影響にも配慮しつつ、適用を拡大。
(3)制度の縦割りを超えた自己負担「合算上限制度」の導入:社会保障・税に関わ
る番号制度導入を前提とした、医療、介護、保育、障害制度の自己負担を「総合合
算」して上限を設定する制度導入(世帯年収300万円で年収の10%とする案を例
示)。
の3本となっています。
今回は社会保障制度改革のうち、年金制度改革についてみていきましょう。
・年金制度の改革案
現在、パートなどの非正規労働者の厚生年金の加入条件は「週30時間以上勤務」と
なっていますが、これを「週20時間以上勤務」に拡大すること、現在は育児休業中だ
けとしている厚生年金保険料の免除期間については産前・産後の休業期間まで広げる
としています。
また、厚生年金保険料は報酬に応じて決まる仕組みになっていますが、改革案では高
額所得者の上限額を引き上げる考えが示されています。
さらに、現在の在職老齢年金の制度では60~64歳で働きながら厚生年金を受け取る場
合、年金と給与の合計額が月額28万円を超えると、28万円を超えた分の半分だけ受給
できる年金が減り、46万円超では給与の増加分だけ年金がカットされます。
この制度を給与と年金の合計額が46万円を超えるまで年金を減額しない制度に変更
し、年金の減額幅を縮小することにより高齢者の就労を促すとしています。
なお、夫がサラリーマンの専業主婦が保険料負担を免除される「第3号被保険者」の
制度については「不公平感を解消するための方策を検討する」と述べるにとどまって
います。
以上簡単に改革案を見てきましたが、非正規労働者への厚生年金加入の拡大は保険料
の半分を負担する企業にとっては非常に大きな負担増となることから反発は必至で、
問題は山積み状態です。今後、どのような決定がなされるか、注視していく必要があ
ります。
(特定社会保険労務士・行政書士 比良 さやか)
社労士から一言~社会保障改革案が発表されました
少し前のことになりますが、菅総理は社会保障制度改革における「安心3本柱」につ
いて最優先項目として検討を進めることを関係省庁に指示しました。
この「安心3本柱」とは、
(1)子育て支援強化:子育て支援については特に現物サービス(子育て支援サービ
ス)に重点をおくことや働きたい女性が全員働けるだけの子育て基盤の増強、「幼保
一体化」の実現。
(2)非正規労働者への社会保険(厚生年金、健康保険)適用拡大:非正規で社会保障
制度適用から排除されている労働者の増加が格差問題にも関係しているとして、中小
企業の雇用等への影響にも配慮しつつ、適用を拡大。
(3)制度の縦割りを超えた自己負担「合算上限制度」の導入:社会保障・税に関わ
る番号制度導入を前提とした、医療、介護、保育、障害制度の自己負担を「総合合
算」して上限を設定する制度導入(世帯年収300万円で年収の10%とする案を例
示)。
の3本となっています。
今回は社会保障制度改革のうち、年金制度改革についてみていきましょう。
・年金制度の改革案
現在、パートなどの非正規労働者の厚生年金の加入条件は「週30時間以上勤務」と
なっていますが、これを「週20時間以上勤務」に拡大すること、現在は育児休業中だ
けとしている厚生年金保険料の免除期間については産前・産後の休業期間まで広げる
としています。
また、厚生年金保険料は報酬に応じて決まる仕組みになっていますが、改革案では高
額所得者の上限額を引き上げる考えが示されています。
さらに、現在の在職老齢年金の制度では60~64歳で働きながら厚生年金を受け取る場
合、年金と給与の合計額が月額28万円を超えると、28万円を超えた分の半分だけ受給
できる年金が減り、46万円超では給与の増加分だけ年金がカットされます。
この制度を給与と年金の合計額が46万円を超えるまで年金を減額しない制度に変更
し、年金の減額幅を縮小することにより高齢者の就労を促すとしています。
なお、夫がサラリーマンの専業主婦が保険料負担を免除される「第3号被保険者」の
制度については「不公平感を解消するための方策を検討する」と述べるにとどまって
います。
以上簡単に改革案を見てきましたが、非正規労働者への厚生年金加入の拡大は保険料
の半分を負担する企業にとっては非常に大きな負担増となることから反発は必至で、
問題は山積み状態です。今後、どのような決定がなされるか、注視していく必要があ
ります。
(特定社会保険労務士・行政書士 比良 さやか)