社労士から一言~「勉強の秋」、資格取得のススメ
関西では大阪マラソンに引き続き神戸マラソンも開催され、多くの市民ランナーが参加されるようです。まさにスポーツの秋、という感じですが、経営者の皆さんは自社の社員に「勉強の秋」を勧めてみられてはいかがでしょうか?
今回は社員の自己研鑚と同時に業務にも役立つ資格の中で、比較的取り組みやすい資格をご紹介します。
・衛生管理者
特 に建設業、製造業、運送業などは自社の社員にこの資格を取得させることは大変意味があります。労働安全衛生法では、常時50人以上が従事している事業場に 衛生管理者と産業医を選任して労働基準監督署に届け出ることを義務付けています。この場合の労働者数はパートタイマーや臨時アルバイトだけではなく、派遣 労働者や業務請負人を含めた人数で見ることになっているため、新入社員を一人雇い入れただけで急遽選任義務が発生したり、増員の必要が出たり(労働者数によって選任すべき人数も決まっています)という事態もあり得る上に、建設業や製造業、運送業など一定の業種では社外の者を衛生管理者とすることが出来ないことになっているからです(二人以上選任する場合で労働衛生コンサルタントがいる場合を除く)。 衛生管理者試験は年に複数回実施されているとはいえ、いずれも受験者が多く、申込みのタイミングによっては希望の日に受験出来ないこともあります。労働基 準監督署の臨検が入ってから慌てることのないよう、衛生管理者資格の取得を推奨しましょう。試験の詳細は財団法人安全衛生技術試験協会のHPを参照して下さい。
・メンタルヘルス・マネジメント検定
人事や総務に関わる社員にお奨めしたい資格がメンタルヘルス・マネジメント検定です。こちらは国家資格ではなく2006年 から大阪商工会議所が主催している検定試験ですが、心の病による休職者は年々増加しており、精神障害による労災の請求件数も平成22年度には1181件に 達し2年連続で過去最高を更新しています。このような状況下においては各企業におけるメンタルヘルスケアの重要度は今後ますます高まってくるでしょう。
この検定は一般社員・新入社員を対象に自らのメンタルヘルス対策を推進するⅢ種(セルフケアコース)、管理職を対象としたⅡ種(ラインケアコース)、さらに人事労務管理スタッフ・経営幹部を対象としたⅠ種(マスターコース)の3コースが用意されており、管理職や人事担当者だけでなく、新入社員教育にも有効です。社員の異変をいち早く察知し重症化する前にケアをするだけでなく、職場のストレスを軽減し発症を予防することは、労災認定やそれに続く民事訴訟のリスクを軽減し、CSR(企業の社会的責任)の視点からも重要な課題です。
メンタルヘルスケア検定は3月・11月の年2回実施されており、公式テキストや問題集も書店で販売されています。詳しくはメンタルヘルス・マネジメント検定の公式HP(http://www.mental-health.ne.jp/)をご覧下さい。
(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)