社労士から一言~年金制度が改正されます~
「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年
金法等の一部を改正する法律」(年金確保支援法)が平成23年8月10日公布されま
した。
この法律は将来の無年金・低年金の発生を防止し、国民の高齢期における所得の確
保をより一層支援する観点から、国民年金保険料の納付可能期間を延長することや、
企業型確定拠出年金において加入資格年齢の引上げや加入者の掛金拠出を可能とする
等の措置を行うことを目的としています。
以下、主なポイントを見ていきましょう。
1.国民年金保険料の納付可能期間を現行の2年から10年に延長し、本人の希望に
より保険料を納付することで、その後の年金受給につなげることができるようにす
る。
来年10月1日までに施行予定。ただし、3年間の時限措置であり、3年度以上遡及
して納付する場合には当時の年金保険料に加えて加算金がつく等の条件があります。
2.第3号被保険者期間に重複する第2号被保険者期間が新たに判明し年金記録が訂
正された場合等に、それに引き続く第3号被保険者期間を未届期間とする取扱いを改
め、保険料納付済期間のままとして取扱い、年金を支給することとする。(平成23
年8月10日より施行済)
3.加入期間を増やすために60歳~65歳までの間に国民年金に任意加入した者につい
て、国民年金基金への加入を可能として、受給額の充実を図る。(公布日から2年以
内で政令で定める日から)
また、確定拠出年金については
1.加入資格年齢を60歳から65歳に引き上げ、企業の雇用状況に応じた柔軟な制度運
営を可能とする。(公布の日から2年6月以内で政令で定める日から)
2.従業員拠出を可能とし所得控除の対象とすること、事業主による従業員に対する
継続的投資教育の実施義務を明文化することで、老後の所得確保に対する従業員の自
主努力を支援する。(平成24年1月1日施行)
3.住基ネットからの加入者の住所情報の取得を可能にすることで住所不明者の解消
を図る等、制度運営上の改善を図り、企業年金の未請求者対策を推進する。(平成2
3年8月10日施行済み)
先日の新聞紙上に、厚生年金の受給額について夫が受給する年金を専業主婦である妻
と折半する改正案を厚労省が社会保障審議会に示したとの記事が掲載されました。第
3号被保険者の取り扱いについてはまだまだ紆余曲折が予想されますが、年金改革の
行方は従業員の高齢期の働き方に密接に関わってきます。今後もその行方を見守る必
要があるでしょう。
(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)