2012年7月アーカイブ

個人事業と会社設立のメリット・デメリット

 

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さあ、起業しよう、と思い立った場合、何をやるかが決まれば次は、さあ会社を作ろうという方も多いかと思います。

 

起業するなら、会社の方が個人よりも信用力がありそうだし、ご自身も代表取締役社長となるのでステータスが上がるような気もします。

もちろん、このような考え方で会社を設立して起業することを否定はしませんし、むしろ事業の拡大に専念して近い将来上場を狙うような場合には、最初から株式会社で事業を始めることが適切とさえいえます。

しかしながら、将来の目標はさておき、起業時は規模が大きくない場合は、個人事業で起業した場合と会社を設立して起業した場合のメリットとデメリットを良く比較して選択することが得策です。

 

では、個人事業と会社設立でどのような場面で差が表れてくるでしょうか?

 

1.事業開始時の手続きや費用の負担

2.事業のもうけに対する税金の負担

3.人を雇った時の社会保険や労働保険の負担

4.銀行借入などの資金調達のしやすさ

 

などの場面で差が出てきます。

 

それでは、場面ごとに詳しく差を見てみましょう。

 

1.事業開始時の手続きや費用の負担

(1)  会社設立手続

会社を設立する場合のみ必要で、個人事業の場合は当然不要です。

 

会社の設立でも設立する会社の種類によって手続と費用が異なります。

 

株式会社の設立では、

①    定款の作成

②    定款の公証役場での認証

③    設立登記申請

の手続きが必要で、定款の公証役場での認証に5万円(オンライン申請の場合)、設立登記手続き時にかかる登録免許税15万円(最低額)が法定費用としてかかり、これらの手続を司法書士等の専門家に依頼した場合手数料が上乗せされることになります。

 

会社を設立する場合、以前だと株式会社を設立するケースが多かったのですが、平成18年の会社法改正で合同会社が認められて以降は、合同会社の設立も増えています。

 

合同会社は、比較的小規模な会社に向いた形態で、設立手続や設立後の各種変更手続が簡素化され、かかる費用も株式会社に比べ少額で済みます

 

合同会社の設立では、

①    定款の作成

②    設立登記申請

の手続きが必要で、定款の公証役場での認証は不要となります。設立登記手続き時にかかる登録免許税は6万円(最低額)となります(専門家に依頼した場合手数料が上乗せされるのは株式会社と同様です)。

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(2)  事業開始時の届出等

個人事業の開業時に必要な届出等は、

1)    税務上の届出

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2)    社会保険の届出

個人事業の場合、従業員を5人以上雇っている場合を除き、健康保険、厚生年金への加入は義務ではないので、社会保険の届出は不要です(飲食業などの業種は何人雇っていても不要)。

3)    労働保険の届出

事業主以外に従業員を1人でも雇ったら、労働保険保険関係成立届労働保険概算保険料申告書」を労働基準監督署に、雇用保険適用事業所設置届および雇用保険被保険者資格取得届ハローワークに提出します。

 

会社を設立した場合に必要な届出等は、

1)    税務上の届出

 

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 2)    社会保険の届出

会社設立の場合、たとえ社長1人の会社であっても社会保険(健康保険、厚生年金)の強制適用事業所になります。このため、設立時に以下の届出等が必要となります。

健康保険・厚生年金新規適用届年金事務所に提出)

健康保険・厚生年金被保険者資格取得届年金事務所に提出)

3)    労働保険の届出

役員以外に従業員を1人でも雇ったら、労働保険保険関係成立届労働保険概算保険料申告書労働基準監督署に、雇用保険適用事業所設置届および雇用保険被保険者資格取得届ハローワークに提出します。

 

このように、個人事業開業の場合と会社設立の場合、通常は社会保険の届出の有無が大きな違いになりますが、その他の届出は大きく異なりません。ただし、個人の開業届出書には添付書類が不要なのに対し、法人設立届出書には定款や登記簿謄本などの書類の添付が必要になるなど、会社設立の場合は添付書類の準備が個人事業者よりも負担が大きくなります

 

個人事業で起業した場合と会社を設立して起業した場合のメリットとデメリットにつき、今回は1番目の事業開始時の手続きや費用の負担についてみてきました。

次回は、2番目の事業のもうけに対する税金の負担について見ていきたいと思います。

 

少々長い連載になってしまいますので、すぐに全容をお知りになりたい方は、税理士法人 成長会計研究所までお問い合わせください。

(東京事務所所長 社員税理士 望月俊治)

(社会保険・雇用保険に関する記述は特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか監修済)

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新しい在留管理制度について

社労士から一言~新しい在留管理制度について

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今年7月9日から新しい在留管理制度がスタートします。現在日本国内に在留している外国人に関係する改正ですので、外国人の研修生を受け入れている企業以外でも、留学生をアルバイトで雇い入れる場合等、知っておきたいポイントを簡単にご紹介したいと思います。 

1.在留カードの発行 

下記の在留資格をもって入国又は更新している在留期間3カ月を超えて許可されている外国人中長期在留者を対象として、「在留カード」が交付されます。 

永住者、定住者、日本人配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在、特定活動、芸術、文化活動、宗教、報道、教授、研修、留学、その他就労の在留資格者

・「在留カード」は申請により地方入国管理官署が郵送により本人に発行します。「在留カード」を受け取らなかった場合、あるいは住所地において在留カードの住所地の記載を14日以内に行わなかった場合は、20万円以下の罰金の対象となりますので注意が必要です。

・「在留カード」の有効期間は在留資格年齢によって違いがありますので、確認が必要です。

・特別永住者については「特別永住者証明書」が交付されます。特別永住者の方は、入国管理事務所ではなく市区町の窓口で申請をしますが、当分の間、「外国人登録カード」を「特別永住者証明書」とみなすことになっており、次回確認申請期間までは今の「外国人登録カード」は有効です。

2.外国人登録制度は平成24年7月8日に廃止

・現在、市区町の窓口で発行されている外国人登録カードは廃止され、外国人にも住民基本台帳法が適用されます。「外国人住民」として登録されることにより、日本人と同じく住民票が作成されることになります。

外国人登録の住所と居所が違っている場合は注意が必要です。というのも各市区町は外国人登録台帳から在留カードの対象者を確認し、「仮住民票」を作成して郵送するのですが、宛先に本人が不在の場合は、市区町へ返送されてしまいます。この場合、仮住民票」は抹消され、本人の知らないところで住所不定の扱いになってしまうからです。このような時は、7月9日から14日以内に居住地の役所に申し出ることにより、仮住民票を復活させることが出来ます

・「仮住民票」に記載された氏名等に誤りがある場合は、変更手続きをする必要があり、修正後の内容で住民票が作成されます。

・「在留カード」の提示を求められた場合、拒否したときは一年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられ、強制退去の対象になる恐れもあります。

3.その他の変更

・現在は最長3年の在留期間が5年に変更されます。一律5年在留出来るということではありません。

・再入国許可の制度も変更され許可の期間が延長されました。

・外国人住民が住所変更をした場合は、居住地の市区町長へ届け出なければなりません。居住地以外の変更は地方入国管理官署へ届け出ます。

・届出期間が定められている場合、違反すれば20万円以下の罰金、場合によっては入管法違反で在留資格が取り消されることもありますので届出期間は必ず守って下さい。

日本にはさまざまな在留資格で滞在されている外国人がたくさんいます。中には日本語の読み書きが不自由な方もおられるでしょう。外国人を雇用している事業主は、自社の外国人労働者が転居した場合等、必要な届出期間を過ぎてしまわないよう、注意を促してあげて下さい

(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)

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