社労士から一言~改正高年齢者雇用安定法がついに成立!
政局絡みで国会が空転する中、8月29日に改正高年齢者雇用安定法が参議院で賛成228、反対10でようやく可決・成立しました。これにより、平成25年4月1日より以下の内容を中心とした改正法が施行されることになりました。1.継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されます
現在は、継続雇用制度の対象となる高年齢者を、労使協定で定める基準によって限定できる仕組みを取り入れている企業もたくさんあると思いますが、この制度が廃止され、希望者全員を再雇用しなければならなくなります。
2.継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲が拡大されます
継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲を、グループ企業にまで拡大する仕組みが設けられることになりました。
3.確保措置義務違反の企業が公表されます
高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定が設けられます。確保措置を講じないからといって即公表されるわけではありませんし、罰則が設けられているわけではありませんが、公表されればコンプライアンスに甘い企業ということで、イメージダウンは避けられません。
4.「高年齢者等職業安定対策基本方針」が見直されます
雇用機会の増大の目標の対象となる高年齢者を65歳以上にまで拡大することとなります。
また、衆議院厚生労働委員会で修正・可決され、今回の改正に盛り込まれた高年齢者雇用確保措置の実施及び運用(心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等の継続雇用制度における取扱いを含む。)に関する指針については、今後策定されることとなりますが、今まで設けていた再雇用基準に達しなかったような社員が再雇用を希望した場合、どのように対処すべきか等、今後この指針の中身に注目が集まりそうです。
高齢者の雇用機会の拡大は厚生年金保険法の改正や、人口比率の関係等、時代の流れから今後ますます重要になってきます。
来年4月の施行に合わせて就業規則の改正等、早急な対策が必要となるでしょう。
詳しい情報が入り次第、このメルマガでもお知らせしたいと思います。
(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)