職場恋愛と懲戒処分

社労士から一言~職場恋愛と懲戒処分

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一時テレビのワイドショーをにぎわせていた芸能人の二股騒動報道も最近は少しおさまってきたようです。芸能人の恋愛スキャンダルなどくだらないと思われている社長さん、あなたの会社で社員の恋愛スキャンダルが起きた時、どう対処されますか?

社内恋愛というのは意外に多いもの。職場の上司や同僚たちに祝福されてゴールイン、ということになれば良いのですが、中には不倫関係に陥り、職場の秩序が乱される場合も出てきます。このような場合、就業規則などで懲戒処分の対象となるのは実はごく一部の事例に限られます。 

妻子ある男性従業員と不倫関係にある女性従業員に対し、2人の社内での行動が目に余るとして再三注意をしたがこれに応じなかったため、会社が「素行不良で職場の風紀秩序を乱した」として女性従業員を解雇したところ、解雇無効の訴えがなされた事件において、判決は労働者の私生活上の非行が会社の信用失墜や秩序維持に支障がある場合には、信義則違反として懲戒処分の対象となるが、この2人の社内恋愛については、社会的に非難される余地があるということで「素行不良」には該当するものの、「2人の交際が職場の風紀を乱し、会社運営に具体的に影響を与えたとは認められない」として懲戒解雇を無効としました。 

判例は、労働者の職務遂行に関係のない私生活上の行為について、「企業秩序に直接の関連を有するものもあることから、規制の対象となる」としており、また「社会的評価の低下毀損は、企業の円滑な運営に支障をきたすおそれがあり、その評価の低下毀損につながることが客観的に認められる場合には、なお広く企業秩序の維持確保のためにこれを規制の対象とすることが許される場合もあり得る」と判示していますが、処分の軽重についてはどの程度会社の社会的評価を毀損したか、あるいは会社運営に影響を与えたかによって適切な処分を求められることになります。 

恋愛に限らず個人的な感情に起因するトラブルの場合は、まずは本人の自覚を促すことが必要不可欠であり、企業人、社会人としての良識を身につけさせるため、社員教育を充実させ、昇進・昇格・転勤等あらゆる機会を捉えて教育訓練を実施することができる体制づくりが重要となります。

また最近はtwitterやブログなどに社員が個人的に書き込んだ内容が思わぬところで会社の社会的評価を著しく低下させ、会社の公式HPがいわゆる炎上状態となり一時休止や閉鎖に追い込まれるような事例も多々見られます。新たにコンプライアンス規程を設けるなどして、より綿密な職場秩序維持のための方策を講じることが必要となってくるでしょう。

(特定社会保険労務士・行政書士 比良さやか)

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このページは、税理士法人 成長会計研究所が2012年6月 6日 18:35に書いたブログ記事です。

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